その手に触れたくて
唇まで熱が伝わる程、隼人の唇は熱い。
重ね合わす唇がだんだんと熱くなってきた時、
「おい、」
離された唇とともに隼人はあたしをジッと見た。
「マジ、うつる」
そう言った隼人は少し咳をし、あたしの身体を引き離そうとする。だけど、そんな事で離れないあたしは、
「うつってもいい」
また隼人の唇に軽く重ね、あたしはすぐにそっと離した。
Γ知らねーぞ、うつっても」
Γいいよ」
意地悪く笑った隼人にあたしも柔らかく笑う。そんな隼人の額に手を当てあたしは冷たさを奪った冷えピタをスッと取った。
「美月が来る前よりカナリ楽になった」
「そう?でも、まだ咳き込んでるし安静にしなくちゃダメだよ。熱もまだあるんだし」
あたしは新しい冷えピタを取り出し、もう一度隼人の額に張り付けた。
「悪りーな」
「ううん。隼人、薬飲んで寝なよ」
「あぁ。美月はもう帰んねーと」
「あたしここに居る。隼人の傍に居たい」
「いや、帰れって。送るから」
「だって…」
「美月にうつったらマジ困る。俺はもう大丈夫だから。…な?」
あたしの頭を撫でた隼人に渋々あたしはコクリと頷く。時々咳き込む隼人は何度も送るって言ったけど、それが申し訳なくてあたしは断った。
だけど隼人は、あたしが一人で帰る事がダメらしく言い合って数分、結局まだしんどそうにしている隼人に送ってもらった。
帰って暫くしてからの隼人の帰った知らせでホッとしたあたしは、すぐにお風呂に入って眠りについた。