その手に触れたくて
あたしには2個上のお兄ちゃんがいる。
お兄ちゃんは俗に言うヤンキーって奴で、夜なんて遊び明け暮れて家に帰ってこない日なんてしょっちゅうだった。
そんなお兄ちゃんは厳しい父に対抗心を持ち、いつも2人は言い合うばかりで、お兄ちゃんはほとんど帰って来なかった。
だからそんな兄がいるあたしを、お父さんは大事に思い19時と言う門限までつけられていた。
でも、お父さんが亡くなってからお兄ちゃんは一気に変わった。
一家の大黒柱が居なくなった途端、当時高2だったお兄ちゃんは学校に行きながら、先輩の紹介で車の整備する所を案内され、働いてた。
今も、あたしとママを守ってんのか知らないけど夜遅くまで働いてる。
だから、お兄ちゃんとは全然会わないんだけど…
昔の記憶に浸っていると少しずつ見えてきた学校が目に入った。
だんだん近づいてくる学校を目にしながらペダルを漕ぐ。
校門とは逆の裏道から入り、自転車置き場まで到着し開いているスペースに自転車を置くと、あたしは人気は居ない校舎の裏へと回った。
そして、そこに居る人物に思わず苦笑いをする。