その手に触れたくて
Γそう。セックスのアピール」
Γちょっ、」
意地悪く言って笑う隼人にまた熱が上がりそう。
Γ絶対に別れないっつーアピールでもしときゃいいじゃん。さすがに見れば諦めんだろ」
Γそ、そー言う問題じゃないって!!しかも見られたく…ちょ、隼人!!」
またまた覆いかぶさろうとしてくる隼人にあたしは両手で押さえる。と、同時に、
「美月ー!!」
明るい夏美の声で慌てて隼人を押しのけた。
「うわっ、すっげぇ邪魔者が来た」
そう言った隼人はフッと息を切らしカーテンを開ける。
「あー、隼人。美月は?」
「ここ」
隼人の横から顔を出したのは明るい夏美の顔。夏美が近くに来ると隼人は姿を消した。
「ちょっと美月大丈夫?ビックリすんじゃん」
「うん、ごめん。大丈夫だから」
「大丈夫そうには見えないけど。まだ熱あんでしょ?」
「うーん…」
「家で寝た方が良くない?あ、けど帰るのもしんどいよね」
“どうしよっか…”
付け加えた言葉とともに表情を崩す夏美の横からスッと隼人が現われ、ベッドの上に2つの鞄を置く。
「俺が送っから帰ろ」
その置かれた鞄はどうみてもあたしと隼人の鞄だった。