その手に触れたくて
Γ隼人、お金なくてまた今度返すから」
Γ別にいいけど、また保険証持って来いってさ。領収書と」
Γうん」
「ここに入れとくぞ」
そう言って隼人は持っていた薬と領収書を鞄な中に突っ込む。
Γごめん。保険証なかったから高かったでしょ?」
Γ高いっつっても、どーせ保険証持って行ったら差額返してもらえるだろ」
Γあ、うん。まぁ、そうだけど」
「つか気にすんなって。何か飲み物でも買って帰るか?」
「あー…うん」
気を利かせてくれる隼人にあたしは頷く。
きっと帰っても何もないし、作る気すらしない。
近くのコンビニに着くまであたしは一言も隼人と話さなかった。
やっぱし身体は正直で熱がある分、ダルクなる。話す体力さえ奪われている感じがした。
「美月、大丈夫か?」
コンビニに着いてすぐ隼人はそう言った。
あたしは口を開かずに隼人を見上げて首を傾げる。
「さっきよりも顔色悪いぞ?」
「え?」
「とりあえず早く帰んねぇとな。寒いから行くぞ」
あたしの手を引いた隼人はコンビニの中に入り、迷わずにポカリとサンドイッチを手にした。