その手に触れたくて
レジに着き、その横にある扉の中から温かいカフェオレの缶を取り出し会計を済ませる。
その温かい缶を隼人はあたしの手に握らせた。
「手、温めとけ。…冷たすぎ」
ギュッと握りしめた缶からジワジワと温かさが手に伝わる。
「ありがと…」
その缶をあたしは両手で握り絞め、隼人が開けたドアの隙間からあたしは身体を外に出した。
手からとは真逆の冷たさが頬を掠める。
思わず身を縮めた時、
「おー、隼人」
低い低い声で隼人の呼ぶ名前に反応してしまった。
視線をゆっくり上げると、そこには一度見た事のある顔が視界に飛び込む。
思わず目を見開いてしまったあたしは、その怖そうな雰囲気を出す剛くんの存在に息を飲み込んだ。
「あー…お前か」
「お前って言うなよ」
そう言った剛くんに隼人はフッと鼻で笑う。
「それよかよ、隼人。お前、抜けたってマジ?」
「あー、その事?」
「なんかよ、すげぇ揉めてるみてーだけど」
直感で分かった。
これってあたしに関係がある事だってすぐに分かってしまった。