その手に触れたくて

「隼人は?」


そう夏美に聞くのは4回目の休み時間。

朝からその言葉を言うあたしに夏美は深いため息を吐き出す。


「まだ来てないよ」

「……」


そう言ってきた夏美にあたしまでもが深いため息を吐き出す。

何で来てないの?明日は一緒に帰ろうって約束したじゃん。


「電話しなよ」


夏美の言う通りあたしは渋々ポケットから携帯を取り出して隼人の名前を呼び出し、通話ボタンを押す。

だけど、


“お掛けになった電話は電波の届かない所-―…”


「え…何で?」


思わず声を漏らすあたしに目の前にいた夏美はスッとあたしに視線を向ける。


「どうしたの?」

「出ない…って言うか電源が入ってない」

「は?何で?」

「何でって、あたしが知りたいよ…」


表情を曇らすあたしは携帯を一度パチンと閉じたけど、もう一度開ける。


「マジで何やってんのよ、隼人!!」


眉間に皺を寄せた夏美は少し怒り気味で言葉を吐き出した。その夏美の表情を伺いながら、あたしは隼人にメールを打ちこんだ。




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