その手に触れたくて
家に帰っても頭の中は隼人でいっぱいだった。
ベッドに寝転んで見つめる先は開けた携帯。
いつみても何も変わってない携帯に思わずため息が出る。
電話をしようか悩んだ挙句、結局は何も出来ないままだった。もしも、また繋がんなかったら…って言う思いから掛けることすら出来なかった。
でもメールだけは入れた。
“何かあった?”
“返事待ってる”
ほんのありきたりなメール。でも、だけどそんなメールさえ無視するかの様に返事は朝まで来なかった。
だから気になって気になってしてた所為で全く寝られなかった。
寝てない所為で頭がズキズキする。目も重くって身体さえも鈍ってる。学校に行こうかどうしょうか行く時間まで悩んだ。
悩んで悩んでした揚句、結局あたしは学校に向かった。今日行けば明日は休みだしって思いながら重い足を学校まで運ばせた。
気分も優れないまま校門を抜けようとした瞬間…だった。視界に入ったのは門の隅の方で俯いて背をつけて立っている隼人の姿。
その隼人の姿を見たあたしは進ませていた足をピタっと止める。そしてそんなあたしに気づいた隼人は、顔を上げゆっくりと足を進ませあたしの前で立ち止まった。
「悪かった」
そう言葉を吐き出す隼人は表情を崩しあたしに頭を下げる。
「何してたの?」
口を開くあたしに隼人は下げていた頭を上げ、あたしを見つめた。
「ごめん」
「そうじゃない。何してたのか聞いてんの」
別に声を張り上げる事もなく冷静な自分で返す。…と言うよりも、こめかみに痛みが走って張り上げる気力さえない。