その手に触れたくて

多分きっと1時間も休めば薬が効いてきて楽になるはず。

未だに痛み出す頭に手を添えて、あたしは軽く目を閉じた。


隼人が肩まで布団を掛けると、


「また来っから」


そう言った隼人の足跡が秘かに聞こえた。


「ま、待って隼人!!」


足音を確認してすぐに目を開けると、既にカーテンで覆われてて、


「どした?」


声とともにもう一度カーテンが開かれる。


「隼人…何にもないよね?」

「え?」

「何も…してないよね?」


“危ない事は”…は敢えて言わなかった。でもその意味をを分かってるかの様に隼人は、「あぁ」って言って少しだけ口角を上げた。


でもその表情が切なさそうだった。

あたしには分かるんだ。隼人の表情がいいか良くないかってくらいはすぐに分かる。


悲しそうに笑った笑みがあたしの胸を、また苦しめる。だからと言って深く聞こうとはしなかった。

隼人を信じてるから。だからこそ隼人の言葉を全て信じようと思った。


そんな事を考えてると完全に目を閉じていた。目を覚ました時には周りは自棄に静かで授業中だろうとすぐに分かった。


「痛っ…」


寝がえりをした瞬間、思わず悲痛の声が小さく漏れる。寝ていた所為で身体の痛みが少し走る。だけど頭の痛さは来た時よりは全然マシになってた。






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