その手に触れたくて
「起きた?」
カーテン越しから聞こえたのは誰かの声。
「あ、はい」
「開けるわよ」
「はい」
シャっと開かれたカーテンから顔をだしたのは保健室の先生だった。
「あ、すみません。勝手に寝てて」
「いいわよ。どうしたのー、また橘くん?」
「はい?」
「体調悪いんでしょ?また橘くんに振り回されたの?」
ニコっと笑う先生は寝てるあたしを上から見下ろす。
「あ、いえ…そうではないです」
「あら、そうなの?」
「ちょっと寝不足で」
「寝不足?寝てないの?」
「まぁ…」
「ちゃんと寝ないとダメよー。身体にも肌にも悪いわよ」
「はい」
「あ、そうだ。休み時間、橘くん来てたわよー。寝てるって言ったら何も言わずに出てったけど」
「え?今、何時ですか?」
思わず聞いてしまった。
そう言えば時間なんて気にしてなかった。