その手に触れたくて

「今2時間目」

「え…今2時間目ですか?」

「うん、もう終わるけどね」


聞いた瞬間、思わず絶句しそうになった。

約2時間も寝てたって事?一睡もしてなかったといえども、こんな保健室で寝過ぎだ。


「すみません、寝過ぎてしまいました」

「いいわよー、1時間や2時間くらいどおって事ないわよ。半日居る人も居るんだから」


サラッと言った先生に思わず呆れた笑みが込み上げてきた。だって何となく誰の事を言ってんのか想像についたから。

暫くして鳴り響いたチャイムに、あたしはベッドから降りて立ち上がる。


「もう、大丈夫なんで戻ります」

「ホントに大丈夫なの?あまり無理しないほうがいいわよ。後々、身体にひびくからね」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

「はーい」


保健室を出て冴えない頭を何度か擦る。でも、2時間も寝てたから本当に身体は楽になってた。


「あ、美月」


今から階段を上ろうとした瞬間、不意に聞こえた声にあたしは見上げる。

階段を降りて来た隼人とバッタリ出会い、あたしは少し微笑んだ。


「ごめんね」

「大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

「んじゃあ、サボろっか」


そう言った隼人は口角を上げる。













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