その手に触れたくて

「ごめんね、夏美」

「何で謝んの?」

「だって…」

「で、美月はどうすんの?それでいいいの?」


ベッドから起き上がったあたしはそのまま座り俯く。


「分かんない」

「分かんないって何?」

「そりゃあ、別れたくないよ。…でも隼人にその気がないなら受け止めなくちゃいけないのかって思う」

「何で受け止めんの?気持ち伝えなよ」

「伝えたよ。でも、隼人はもう無理ってさ。疲れたって言った」

「……」

「隼人にその気がないなら…あたしも無理だよ。隼人が他の人の事を想ってるのに…あたしは付き合えない」

「……」

「気持ちがないまま付き合いたくなんてないよ」


だって、本当にそうだもん。

他の子を想ってる隼人となんて付き合いたくない。最近あたしと居る隼人は疲れきってた。切なさそうな、辛そうな、そんな隼人と…


もう居たくない。


なんなら、あたし一人だけ好きって気持ちを心に顰めときたいよ。

分かんないんだ。自分でも…だって、付き合うのも別れを経験するのが全部隼人だから、分かんないんだ。

どうしていいのとか、こー言う時ってどうするべきなのか全く分かんない。


今までの経験がないから、分かんないんだよ、ホントに。
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