その手に触れたくて
20
週末はやっぱり何をするのも嫌で結局は部屋に閉じこもったままだった。
何度、携帯を見ても何も変わんないままの携帯。もしかしたら隼人から連絡があるんじゃないかって思ってしまった。
と言うか今が、この今が夢なんじゃないかって思った。
“別れたい…”
その言葉が頭の中を駆け巡る。
あたしは隼人が他の人と幸せになる事なんて応援できない。だって、やっぱし何度考えても好きだもん。
夏美には、もういいって言ったけどそんな簡単に終わらす事なんて出来ない。
電話しようと何度も思った。でも、画面に隼人の名前が出ると何でかしんないけど掛けれなかった。
閉じては開け、閉じては開けを何度繰り返したかも分かんなかった。
なんで、なんであたしから離れていくの?
ねぇ、隼人…
月曜の朝はやっぱし行きたくない気持ちでいっぱいだった。正直言えば辞めたいって思ってしまうくらいだった。
腕を通したくない制服だって嫌々着た。もう何もかも嫌で嫌で仕方がなかった。
学校に着いても冴えない気持ちでいっぱいだった。何もかもこんな嫌になったのは初めてって思うくらいだった。でも、変わらないのは夏美だった。
「ジャーン。ゲットしたよ」
昼休み。
明るく声を出し、あたしの目の前にビニール袋をユラユラさせる夏美は勝ち誇った様に笑みを漏らす。
「何?」
「何ってメロンパンだよ。あたしダッシュで行ったんだからね。はい」
机の上に置かれた袋に視線を向ける。