その手に触れたくて

心が張り裂けそうだった。

身体も弱ってて頭が痛くて、毎日そんな事ばかりを思いながら過ごしてた。


気づけば、もう7月終わり。もうすぐで終業式が迫ってた。


まだ認めたくはないけど隼人と別れてから3週間は過ぎた…と思う。正確にはもう何日が過ぎてんのかもさっぱり分かんない。

学校でも隼人を見る事はほとんどなかった。夏美のクラスには行かないし、だからと言って夏美に隼人の事を聞く事も一切なかった。

だからどうしてんのかも何も分かんなかった。


見たらきっと、また気持ちが倍に膨らんでしまう。


直司とも、もう会話なんてない。直司が避けていると言うよりも、あたしが避けてた。話す事なんて何もないし、何も話したくはなかった。

隼人と繋がりがあると言うだけで話したくない。


もう、ほんと出会う前みたいに何もかもが戻ってた。


ほんと、何もない毎日がただ過ぎて行くだけで、ほぼ1日の半分は夏美との生活を送ってた。

でも何も変わらない毎日で一つだけ嫌な事。


夏は嫌いだ。汗ばむ肌も太陽も全て嫌い。もうすぐで隼人と付き合い始めた日が近づいて来る。だから思い出しちゃう。

嬉しかった…楽しかった事を全て思い出しちゃう。



だから、ホントに嫌い。


「ねぇ、美月?」

「……」

「ちょっと聞いてんの?」

「え?」


いつもの帰り、あたしと夏美と相沢さんでお馴染のカフェに来てた。












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