その手に触れたくて
ゆっくりと目を開けるとボンヤリと見えてくるそこは見覚えのある場所。
頭もボーっとしてて何が何だか分からない今の状況。
「…み、美月っ!!」
ズキンと頭が痛むくらいの声であたしは顔を顰める。
そして完全に目を開けた時、
「美月ちゃん、大丈夫?分かる?」
また聞き覚えのある声に顔をゆっくり動かした。
視界に入ってきたのは泣きそうなくらいまで落ち込んでいる夏美と相沢さんの顔。2人とも椅子に座ってて、ベッドに寝転んでいるあたしの腕を夏美は握りしめている。
「…あたし…」
どうしたんだろ。
「美月、倒れたんだよ」
「え?」
「上履きに履き替えた途端、バタンって倒れたんだよ」
そっか。あたし倒れたんだ。しんどいって…帰りたいって思っててから、もう記憶なんて何もない。
「痛っ…」
身体を捻るともの凄い痛みが全身を襲う。
「だ、ダメだよ。美月ちゃんまだ寝てるほうがいいよ。真後ろに倒れたみたいだからカナリ打ってると思う」
「そうだよ、美月ほんとに凄かったんだから。バタンって物凄い音だったんだから。もう、あたしどうしていいか分かんなかったんだから」
「ごめんね…」
頭を軽く擦りながら、あたしはそう小さく呟く。