その手に触れたくて
暫くしてコンコンとノックをされる音に何故かドクンと心臓が波打った。
なんかいけない悪い事をしたみたいに心臓がドクドクとする。
「はーい」
「すみません、安藤です」
ガラっと開いたドアに先生がドアに視線を送る。
「あーお兄さん、忙しいのにゴメンなさいね」
「いえ、」
「さっきまで眠ってたけど今は起きてるから」
「そうですか、すみません」
「で、ちょっと激しく身体打ってるから念の為、病院で検査してもらって。頭とか打ってると思うので」
「あ、はい」
「これ、一応紹介状ね。全部書いてあるから向こう行って渡せばいいだけだから」
「分かりました」
「安藤さーん。お兄さん来たから起きられる?」
カーテンをシャっと開かれると同時に顔を背けたくなった。
嫌だ、お兄ちゃんに合わせる顔が嫌だ。
もう、ママがいいよ。ママが良かったよ…
「安藤さん?」
「はい…」
仕方なく小さく呟いた声にあたしは少しづつ身体を起す。背中から全身に広がってくる痛みが余りにも激しくて唇を噛んだ。
「大丈夫?」
「はい」
先生に手を貸してもらいながら身体を起し、乱れた髪を整える。