その手に触れたくて
「夏美、常連だったの?」
あたしは隣の夏美を見て言う。
「うん、前まではよく来てたよ」
そう言って夏美はテーブルに置かれている水を口に含む。
「あっ、おばちゃん!久し振りに来たから安くしてや」
夏美の前に座る直司はメニューをヒラヒラさせる。
そんな直司を見ておばちゃんはクスクス笑い、「何?今回直司くん?」と解りきったように言葉を返す。
「そうそう。俺…」
直司はハァ…とため息を付き持っていたメニューをテーブルに置き胡坐を掻いて壁に背を付ける。
「じゃあ、少しは――…」
「んじゃあ、俺ビール」
あたしの目の前に座ってメニューを見てた隼人は、おばちゃんの言葉を遮り口を開くと、
「未成年はお断り」
すぐさま、おばちゃんの声が返ってきた。