その手に触れたくて
21
刻々時間が過ぎるのも早ければ、何もない1日が過ぎ去っていくのも早い。
早いけど、あたしの頭の中は未だにゴチャゴチャしてて、あの日のままで止まってる。
「ごめん、相沢さん…」
直司達を見掛けてから5日。
結局は、結局はあたしが頼る道は相沢さんしか居なかった。
ただ、相沢さんなら何か知ってると直感的に思っただけ。
今更、隼人の事聞いてどうする。って思ったけど、やっぱしあたしは隼人を想うばかり。出来るだけ未練は残したくなかったけど、やっぱし未練がましいって思う程、隼人じゃないとダメだと自分で思ってしまった。
「あ、美月ちゃん…どうしたの?」
放課後の教室。
用事があると先に帰った夏美と別れた後、あたしは一人で相沢さんが居る教室へと向かう。
今から帰ろうであろう相沢さんは鞄を肩に掛ける。
「あ、うん…」
「なんかあった?」
「ちょっと…」
「ちょっと?」
「うん」
「え、何?どーしたの?」
相沢さんは首を傾げながらあたしを見つめる。
「あ、うん…。ちょっと時間ある?」
「うん。いいけど」
「でもここじゃ、ちょっと…」
「じゃあ、喫茶でも行こっか」
そう言った相沢さんは微笑んで、足を進めた。