その手に触れたくて
「ごめんね…」
学校を出て歩く途中、相沢さんに申し訳なさそうに呟く。
「え、ううん。全然いいよ、暇だったし」
「うん…」
今更ながら誘っときながら、どう話を切り出していいのかなんて分かんなかった。
やっぱし、こんな事聞かない方がいいかも。なんて思った。
だからと言って、違う話をしょうなんて思えない。他の話なんて今はない。あたしの頭の中はおかしいんじゃないかってくらい隼人でいっぱいだ。
こんな未練がましい女、最悪かも知んない。
「どうしたの?浮かない顔して」
喫茶店に入ってすぐ腰を下ろす相沢さんはテーブルの端にあったメニューを取る。
そのメニューに視線を落としながらチラっとあたしを見た。
「うん…」
そう小さく頷くあたしに相沢さんは店員を呼んで、ミルクティーを頼む。
「美月ちゃんは?」
「あ、あたしもそれで」
そう言ったあたしに相沢さんは同じ飲み物を店員に告げた。