その手に触れたくて

「数人の人達と居てさ、聞いたんだよね…って言うか聞いてしまったの」

「…何を?」

「ねぇ、相沢さん?」

「うん?」

「darkって何?」


あの会話の中で凄く今まで引っ掛かってた。

どーしてもその言葉が気になって、頭の中のほとんどがその言葉で埋め尽くされていた。


でも、そー言った瞬間だった。

相沢さんの顔が更に引きつってた。引きつってたと言うよりも、青ざめてた。


「え、ちょ…何?どーしたの?」


戸惑い気味に返す相沢さん。

その隣から店員が持って来た温かいミルクティーがテーブルに置かれる。


「ねぇ、知ってるんでしょ?darkって何?教えて、相沢さん!!」


思わず声を上げてしまったあたしに、相沢さんは焦った表情をし辺りをキョロキョロする。


「ちょ、ちょっと美月ちゃん…」


焦った相沢さんは唇に人差し指を立てた。


「あ、ごめん…でも気になるから」

「ねぇ、それって誰に聞いた?」

「誰って…直司。とか…って言うか聞こえたんだけど、会話が」

「それと隼人が関係あるの?」

「…隼人が居るって言ってた」

「……」


声を出せない程だったんだろうか。相沢さんの口の動きが確かに“え?”って言う動きだった。

そして相沢さんの表情は更に悪く物凄く青ざめている様に感じた。


だから…余計に気になった。


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