その手に触れたくて
また見なれた風景が目に映り込んで来る。
あまりいい様には思えない廃墟の街並み。
この先で何が起こってんのかも分からない未知の世界に踏み込もうとするあたし達は辿りつくまで口数はカナリ減ってた。
あと、少し…
あと少しで建物がある。
って思った時だった。
「…お前なぁ!!」
ドクンと心臓が張り裂けそうなくらいの誰かの声であたし達の身体は一瞬にして硬直する。
その所為で動けなくなったあたし達はお互いに顔を見合わせた。
「…な、何?」
恐る恐る声をだす夏美。
顔を曇らせる相沢さんはゆっくりと首を傾げる。
「…ふざけんのもいい加減にしろよ!!」
怒鳴り声で心拍が上がる。
でも、
だけど、
あたしは…
その声に違和感を覚えた。