その手に触れたくて
「ってか、俺ってそんな風に見えてんの?」
「うん。だって孤立してるし」
「あー…それはただ知らない奴と話すのが面倒なだけ。俺より隼人の方が一匹狼に近いだろ」
そう言われて思わず「あー…」って声を漏らしてしまった。
「ねぇ、一つだけ聞いてもいいかな?」
少し間を置いてから、どうしても聞きたかった事をあたしは聞こうと思い、少し直司の顔に目線を送る。
「何?」
「…夏美の事なんだけど…」
思わず声が小さくなったあたしに直司は「あー…」と考えるように声を漏らす。
「聞きたかったんだけどさ…、店の中で言ってた事って何?」
これだけはどうしても聞きたかった。
あの一瞬にして空気を変える様な雰囲気があたしは知りたかった。
「別に重大な事でもねぇけどさ…」
そこまで言って直司は言葉を詰まらせ、少し間を置いて話を続けた。