その手に触れたくて
そっか…だよね。
だから昨日、夏美は隼人はやめといたほうがいいって言ったんだ。
彼女が居て当たり前って言う風貌だしね。
なんかちょっと自分が馬鹿らしく思えた。あんなに浮かれてて、さっきまでのドキドキ感が一気にぶっ飛んだ気分になった。
まぁ、昨日の今日だし、まだ本格的に想ってないし、少しだけ気になってただけだから、きっとすぐに忘れられるよ…
すぐに…って言うか忘れなきゃ…。
「みーづき!!」
夏美の呼ぶ声にハッとし顔を上げると、あたしと夏美の距離が少し開いていて、いつの間にかあたしの足が止まってた事に気付く。
すぐに駆け寄ると「どーしたの?」と夏美はあたしの顔を伺う。
「ううん…」
あたしは首を横に振る。
下駄箱に行き、あたしと夏美は上履きに履き替えて2階まで上がり、夏美と別れた後、自分の教室に入りダラン…と崩れるように自分の席に腰を下ろした。
さっきの夏美の会話が嫌味なように、あたしの頭の中を駆け巡る…
「彼女か…」