その手に触れたくて
その方向にあたしも目を向けると数人の生徒達が歩いているだけで…
「ねぇ、隼人?」
少し小さな夏美の声にあたしは夏美に目を向けると、隼人は「あ?」と声を漏らす。
「相沢さんってさ、剛くんの彼女じゃなかったっけ?」
「あぁ」
「あぁって…最近、相沢さん宮内くんと一緒にいる所、よく見るよ?ねぇ、ヤバイんじゃないの?」
夏美は廊下と隼人を交互に見る。
気になったあたしも廊下に視線を移すと、そこには夏美と同じように綺麗系の相沢さんが男と仲良く話していた。
相沢さんって人は何度か見た事あったけど、男のほうは知らない。
って言うか夏美の会話もあたしには全然分からないし、剛くんって人も誰だか分かんない。
その2人を見ていると、フッと鼻で笑う隼人の声であたしはチラッと見た。
「どーでもいいんじゃねぇの?あの男もよ、人のもんとんだからそれなりの覚悟は出来てんだろ」
そう言って隼人は夏美の机に頬杖を付き、相沢さん達を見つめてた。
「そーかなぁ…。ま、あたしには関係ないけどさぁ…」
“美月、行こ”
夏美はそう付け加えて、あたしの肩をポンと叩き、教室を出ていく。