その手に触れたくて
「ねぇ、さっきの話、何?」
下駄箱まで来ると、あたしは夏美に問い掛けた。
「あー、相沢さんってさ、隼人の友達と付き合ってんだよ」
「友達?」
「うん。剛くんって言うんだけど、高校行ってなくてカナリの悪なんだけど…ここら辺じゃカナリの有名」
「ふーん…」
駐輪場を通過して校舎の裏へと行くと、夏美はしゃがみ込み、タバコを取り出す。
取り出したタバコに火を点け、夏美は空に向かって煙を吐き出した。
「一年の時、隼人と相沢さん同じクラスで、隼人が剛くんを紹介したって言ってた」
「そんな悪なの?」
「うん。…多分、響さんに聞けば知ってんじゃないの?」
「お兄ちゃん?」
少し首を傾げながらあたしは夏美の隣に腰を下ろす。
「だって響さんも有名だったじゃん」
「あー…、けど最近お兄ちゃんと会ってないや」
「そっか…。響さん頑張ってんだねー」
「うん」