その手に触れたくて
「だから、何て言うのか…自分でも分かんないの。けど、隼人が居ると目で追って…。でも隼人を見ると苦しいの」
「えっ、ちょっ、ちょっと待って。そ、それってさ、ようするに隼人が好きって事でしょ?」
「…そうなのかな」
だって自分では分かんない。恋愛すらした事ないし、それに恋愛感情じゃないと思うし…
「そうなのかなって…、そうでしょ?好きだから目で追ってんじゃないの?」
「でも恋愛感情じゃないと思う。だって隼人みると苦しいし…」
分かんないけど苦しい…
隼人を見ると苦しい…
夏美は顎に手を添えたまま少し眉を寄せ、そのままあたしをジっと見つめる。
「それって好きだからでしょ?」
「えっ?」
少しの沈黙の後、夏美が呟き、あたしは夏美に目を向けながらか細い声を出した。