廃陸の旅団


「素晴らしい目ですね。それではクラナド君、このゴーグルを装着して。」

クラナドはニーガルから渡されたゴーグルをはめる。

「B.T.には幾つかの難易度が設定されています。クラナド君にはまず一番下の……」

「カムイ君に!!……カムイ君にやらせようとしている難易度にしてください。」

普段おとなしいクラナドの闘士むき出しな表情に、見ていた先生達は驚いていた。

同時に嬉しくも思うのは、クラナドがそれだけ先生達から慕われている確かな証拠だった。

「ふで、良いでしょう。それでは特A級にチャレンジしてもらいます。これをクリアできたらB.A.S.E.にお招きしますよ。」

ニーガルの言葉にクラナドの集中力が極限まで研ぎ澄まされる。

何故ならB.A.S.E.に入るということはアブソリュートの生徒達の最大の目標であったからだ。


「今からあなたの脳に微弱な電流を流し、幻の実体を見せます。その幻を倒してください。もし倒せなかったとしても死ぬことはないので安心して。ではスタート。」

クラナドの視界が色鮮やかな光に包まれ、その光が徐々に弱くなり、治まった時には目の前は雑木林の中になっていた。

辺りを注意深く見渡していると目の前に黒い水溜まりが一つ浮かんでいるのを見つけた。

「何だあれは……!?」

すると、その水面が揺れ、何かが沸きだすかのように水面が突起し始めるのだった。

クラナドが身構える。

それは段々と形を成し、黒い操り人形の様な形になっていった。




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