廃陸の旅団
一行が港へと行くと船に積み荷が始まっていた。

港に停められた三隻の船。

1つは漁の為のモノだろうか。操縦席だけがあり、大きな縄が縛ってある。

もう2つは海底都市との渡し手を担う通称『海中シャトル』だ。

潜水艦のそれに似たつくりではあるが、通常の潜水艦よりも遥か深海へと潜らなければならないために孔気の膜で覆われる様になっている。

船の側面に八つずつ付けられた、孔気と空気の膜で船を覆う為の装置が鈍い光を発していた。

三人は働いている船乗りに話し掛けてみる。

「船はいつ出るんですか?」

「お、ああ。ここにある荷物を乗せ次第出航だよ。っても出る前には汽笛をならすから乗り逃すやつはいねぇと思うけどな。」

「じゃあ、街中を散策してきても大丈夫でしょうか?」

「おお、サルマンの銅像以外に何もないとこだけど楽しんでくれ。」

豪快な船乗りの笑顔に見送られ、三人は港の荷積みが終わるまでの時間を、街を散策して過ごすことにした。

街は、武器屋に食事処、装飾品屋まで小さな町にしてはかなりの繁盛ぶりで海底都市に行く観光客達から人気があるようだった。

三人は町の中央にサルマンの石像があると聞いたので行ってみることにした。

中央には公園があって確かにそのど真ん中に石像があった。

三人が近くに行こうとすると、反対側から黒いローブを着た男がカムイ達の方へと歩いてきた。

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