廃陸の旅団
『ギギ……バトルシュミレーター難易度特A……ギギ……シャドーマン行キマス。』
シャドーマンは奇妙に関節という関節をクネクネと曲げながらクラナドに突進してきた。
「――!?」
授業以外での戦闘をしたことなど無いクラナドは、反応が遅れ、腹部にシャドーマンの一撃を受ける。
平穏な場で育ちとりわけ苦労もなく生きてきた所謂(いわゆる)エリートと言われる者は、とかく初陣に弱い。
頭の中、訓練の中だけでしか戦ったことのない彼らは実践で実力を思う様に発揮できないのだ。
「うぁっ。重い一撃をくらっちゃったな。でも……動きは遅い。」
クラナドが全身に力を込めると黄金の水蒸気のようなものが身体全体を覆った。
「なんと!!あの年でフォースを扱えるとは。」
傍観していた政治家の一人が歓喜の声を上げた頃。
『ギギ…フォース(孔気)反応ヲ確認…難易度ヲ更ニ…上ゲマス。』
それを見たシャドーマンの周りに、同じ様に黒い蒸気が発生し始めたのだった。
「こいつもフォースマスター(孔気使い)なのか……行くぞ。」
交錯した腕がお互いの顔面をとらえる。
シャドーマンは身体をそらしただけだったが、クラナドは遥か後方の木にまで吹き飛ばされてしまう。
「くそっ、フォースの硬度に差がありすぎる。」
クラナドが目に入った血を拭き取った一瞬の間だった。
シャドーマンがクラナドの視界から消える。
「なにっ……!!」
そしてクラナドの瞳に再びシャドーマンが写つると、クラナドの視界が真っ黒になった。
「……っ。うっ。」
そして3分が経った頃、クラナドが意識を取り戻す。
するとカムイがB.Tを装着し、今まさに試そうとしている時だった。