廃陸の旅団
3人が座ることができたのは、最下層の最奥だった。

部屋には小窓が所々に付いていて海中を見ることができるようになっている。

「見て見てリリー。綺麗な魚がいっぱいいるよ。」

まるで大人びた様子もなく、純粋に楽しんでいるマールを見てカムイは微笑む。

「本当だ。……美味しそうだね。」

「………。リリー?」

「えっ!?私なにか変なこと言った?」

そんなリリーの意外なアンチロマンチストな一面が垣間見えつつも、船はゆっくりと深海へと沈んでいく。

窓から覗く景色は神秘的で、色とりどりの珊瑚礁の上を、これまた色とりどりのたくさんの魚達が優雅に泳いでいった。

海蛇や鮫などが近くを通ると観光客達から悲鳴に似た歓声があがる。

3人は任務のことをしばし忘れて、海中探索を楽しんでいた。





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