廃陸の旅団
そして翌朝。
潜水艇は目的地である海底都市『アナセル』に到着した。
この街は昔、大陸として浮かんでいたのだが津波に飲み込まれ水没してしまった街だ。
オキスロットの開発により水中でも人間が住めるようになったので、近年になり街の人々がアナセルへと戻り復興再建したらしい。
「凄い……本当に海の中だ。オキスロットの外に普通に魚が泳いでる。」
オキスロットによって街はドーム状の空気で覆われている。
もちろん魚達が入って落下してきたりしないように微弱な電流化したフォースによって、保護されている。
「深海だけあって変な顔の魚ばっかじゃんキモイよ。ってか顔どれ?ってヤツ多すぎるんですけど。」
「ははは。」
マールの一言に笑うカムイとリリーであったが何だか二人の様子がおかしい。
「もしかしてぇ、昨日の夜に何かあったの?知ってるんだからね二人がデッキで一晩過ごしたこと。」
マールがそう言うとやましい事は何もなかったのにリリーは赤面した。
「ガキがそういうこと言うなっつの。」
「何よカムイだってガキじゃない。この中だと大人っていえるのリリーだけだよね。来年成人だし。」
「えっリリーって19歳だったの!?俺てっきり同い年だと思って……」
「そんなに子供っぽいのかな私……」
「綺麗な魚を見て美味しそうとか言えちゃう無垢さとかもうね。」
三人は街を歩きながら何気ない話をした。