廃陸の旅団
二人は恐る恐るそのいかにも怪しい店に入る。

「いらっしゃーい。あら可愛いボウヤとジャリ娘じゃなぁい。」

アゴ髭。短髪。筋肉隆々。アゴ髭。内側にくるっと丸まったキュートなモミアゲ。分厚い口に塗りたくられた真っ赤な口紅。アゴ髭。

「はわわわわ……どうしようモンスター!?」

「いや、リリー。モンスターじゃないから……たぶん。」

「もう、レディー(?)に向かってモンスターだなんて、いけない子ね……お仕置きしちゃうわよ、うふん☆」

カムイに向けて放たれた悪魔のウインク。

カムイは精神に999のダメージを受けた。

カムイはトラウマの異常状態がついてしまった。

「おや何やら賑やかだねママ。」

「あらぁゴメンなさいね。なんだか珍しいお客さんだったもんで、ママ楽しくなっちゃって。」


奥の仕切りから現れたのは――

「おや?カムイとリリーじゃないか。」

「ニーガル中将!!」

「何してるんですか!?」

ニーガルは辺りをわざとらしく見渡すと言う。

「何って、ここのモーニングセットが絶品でね。アナセルへ来たときには必ず立ち寄るんだ。」

「そんなことを聞いてるんじゃない!!」

いきなりニーガルに殴りかかろうとしたカムイをリリーが止める。

「……何があった?」

カムイのただならぬ形相にニーガルはようやく引き締まった顔を見せる。

リリーはカムイを落ち着かせると、事の経緯をニーガルに伝えた。

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