廃陸の旅団
市街を離れ歩くこと40分。

海底都市のスラムと呼ばれる『バーラム』地区に無属民のアジトがあるのを、調査をしていたニーガルが突き止めていた。

「今回潜入するのは無属民の四天士の1人・ラムダが統括しているアジトだ。」
「してんし?」

「左様。無属民は4人の屈強なフォースマスターによって統括されているんだ。ラムダはその中でも剛力と名高い。気を抜くなよ。」

「はい!!」


ニーガルの後をついていくと、ある酒場の前で立ち止まる。

西部劇に出てきそうな両内開きの木製の扉を開くと、予想どおりのイカツイ顔をした男達。

昼間からだと言うのに酒を飲んでいる。

「本当にこんなわかりやすい場所にいるんですか?」

「まぁ、すぐに戦闘に入る準備をしながら見てなさいって。」

ニーガルはニッと笑うと、酒場の店主らしき人の元へとかけ寄る。

「おや、こんなむさ苦しい場所へようこそ。何になさいますか?」

店長はなんとも胡散臭い笑顔で言う。

「そうだねぇ……これでも以外と私は舌が肥えていてね。私を満足させられる美酒があるかな?」

なんとも呑気なことにニーガルは店長の言葉に乗り出してしまったではないか。

カムイは呆れ顔でニーガルのことを見る。

「色々な産地のモノを取り揃えていますのでなんなりとお申し付けください。」

「ではそうだな……ケルセウム産の三十五年モノ。名をなんといったかな……?」

「三十五年モノですか、あの年は良質なベリーが僅かばかりしか採れなかった年でしたね。」

ニーガルは店主の顔をじっと見ながら続ける。

「そうそう。あれは確か……"ラムダ"と言ったかな。」

ニーガルの言葉に店長の顔が一気に引きつる。

すると店の空気が一変した。

「やっちまえ野郎ども、こいつらを切り刻め!!」

店長の形相が変わり、床下から港にいた無属民達が飛び出してくる。

「え、ちょっとニーガルさんどういうこと?」

状況の掴めていないカムイとリリーは茫然とする。

そんな二人の様子を見てニーガルは笑った。

「ラムダってのは無属民のリーダーの名前。ケルセウム産まれの三十五歳独身。」

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