廃陸の旅団
ニーガルが戻るとちょうどカムイが孔気刀を変形させた所だった。

「複数の孔気刀を扱えるとは……」

ニーガルは変形したカムイの孔気刀をまじまじと見つめる。

「あの、やっぱり凄いことなんですか?複数の孔気刀を持つって。」

形勢逆転したカムイにリリーの援護はもう必要がなく、リリーはニーガルの元にかけよった。

「並大抵のフォースマスターでは一つの孔気刀を作ることすら難しいからね。複数の孔気刀となると私は2人しか知らない。」

「その2人って……?」

カムイは器用に槍を躱すと、すぐさまレイピアで半魚人を貫く。

「我々B.A.S.E.の最高司令官"虹神-コウシン-"のハイマンス。そして――」

二人目の名をニーガルが口に出すか出さないかの瞬間。

カムイのレイピアが半魚人の急所を的確に貫き、半魚人を倒した。

「ニーガルさんやっぱ早いね。」

「まぁこれでもサーベラー隊長だからね。軽いものさ。」

自分の方が早かったね、と嫌味たらしく言うニーガルに、カムイは嫌な顔をした。

それを見てニーガルが笑う。

結局ニーガルが二人目のことを話すことはなかった。



「残りの1人"天帝--テンテイ"のオスカー……私の唯一の師であり、そして倒さねばならぬ人。」

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