廃陸の旅団
リヴイアサンの吐き出した津波が治まる頃には、カムイ達のいた洞窟内は水で満たされてしまっていた。

「ごめんなさい。さっきの神域でフォースを消費してしまって皆に酸素を送るくらいしかもうできない。」

リリーはぐったりとしながらもウェイバーの能力で、水の流れから酸素だけを皆の口元に最小限に送り込んでいた。

それだってフォースを消費し続けるのでリヴイアサンを倒すまでの時間はかなり限られてくる。

「あれこれ考える時間もないな。マールは回復とリリーの援護に専念。俺とニーガルさんでリヴイアサンをうちましょう。」

「うん、わかった。」

「ああ、そうしよう。」

カムイとニーガルは勢い良く地面を蹴る。

しかし水中では思うように身動きがとれず、同時に振り出した刄はリヴァイアサンに届くことなく空を切った。

ただでさえリリーの消耗が激しく、戦いを長引かせることができない状況だというのに、相手は海中の生物。

巨体にそぐわぬ速さで水中を縦横無尽にかけられては追い付くことなどできない。

「くっそ、でかいくせにちょこまかと動きやがって……ぐわっ!!」

リヴァイアサンがカムイに猛突進。

カムイは浮かんでいた水中から地面にまで吹き飛ばされた。

リヴァイアサンがそうして近づいた瞬間にも切り掛かるが、水圧で思うように振り抜くことはできず、当たってもまるで意味がない。

「剣がだめならば、術を使うまでだ。リヴイアサンを凍らせよ『グレイシア《氷壁の籠》』」

ニーガルの術でリヴイアサンは氷付けになるが、簡単に氷山を破壊し抜け出してしまう。

「ふむ呪術も効かぬときたか。さて……どうしたものかな?」

リヴイアサンは遊んでいるかのようにカムイとニーガルの攻撃を避け、そして猛突進してくる。

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