廃陸の旅団
「ん……ううん。」
意識を取り戻したマール。
辺りを見回すとそこはスティーレス海穴の入り口だった。
「目が覚めたかい?」
マールが後ろに振り返るとニーガルが腕を押さえて壁に寄り掛かっていた。
「ニーガル大丈夫!?右腕から血が。」
マールが駆け付けるとニーガルは左手で前方を指差した。
「あの子らを先に。」
指差された先ではカムイがリリーに覆いかぶさる形で倒れていた。
「二人とも大丈夫?今治すからね『ヒール』」
マールが二人を治癒するとリリーだけが起き上がる。
カムイはまだ何故かぐったりとして起き上がらない。
「マールちゃん。カムイがリヴァイアサンの牙から私をかばってくれて。」
マールがカムイの背中を見るとリヴァイアサンの牙が刺さっていた。
しかも傷が緑色に腫れ上がっている。
「まずいわね。毒が回ってる……しかもこの毒。そんじょそこらのヒーラーじゃ応急処置だってできやしないわね。」
カムイの傷をマジマジと調べマールが重い口調で言う。
リリーの顔が一瞬にして青ざめていく。
「そんな!!それじゃあカムイは……カムイは!?」
マールの言葉を聞いてリリーは泣きそうだ。
そんな様子を眺めてニーガルは笑っていた。