廃陸の旅団
部屋を抜け、カムイが階段を数歩登った瞬間だった。
「へぇ、君達やるね。」
階段の上から声がしてカムイは、見上げる――
「なかなか良いフォースを秘めているじゃないか。」
がそこには誰一人の姿もなく、カムイは背後から気配を感じ振り返る。
すると金髪の長い髪を後ろで縛り、白い着物をだらしなく着た、細い釣り目の男が立っていた。
「……(何だこいつ、全く気配がなかった。)」
「君かなり使えそうだ。うちの旅団に入らないか?」
ゆっくりと近づいてくる男。
カムイは孔気刀を作り出すと身構える。
「嫌だなぁ。オレは君を勧誘しようとしているだけで、戦う気はないんだよ?」
「黙れ賊め。『空衝波』」
風の刄が男を襲うが、それは何かによって打ち消されてしまう。
「――なっ!?」
「見えなかった?これだよこれ。」
『ジャラッ』
男の袖から音を立てながら鎖が垂れ下がる。
「鎖使い……お前がソニアさんを。許さない!!」
「話じゃ埒があかなそうだ。ふん縛って連れていくことにするよ、なんせオレ盗賊だしね。」
にこ。っと不気味な笑顔を見せたかと思うと、鎖が四方八方からカムイを襲った。
アンダー・ワームの触手のそれを遥かに上回るスピードに隔絶された威力。
カムイは何とか孔気刀で受けるが、いとも簡単に破壊されてしまった。
「くっそぉぉお!!」
カムイは再び孔気刀を作り出すと男に向かい突っ込んでいく。
男はため息を着くと、その底知れぬフォースを辺りに解き放つ。
「仕方ない軽く痛め付けて連れていこうか『結鎖・烈風陣』」
いつの間にかカムイの回りを鎖が囲んでいた。
鎖はその軌跡に魔法陣を描き、カムイを呪結界の中へと閉じ込める。
「なっ……なんだこれは!?う、うわぁぁぁぁあっ!!」
カムイは結界内に吹き抜ける烈風に切り刻まれ、床に倒れた。