廃陸の旅団
ニーガルは腕時計を見ると小さなため息をする。
「さて、私はこれから大事な会議があるのでこれで。リリー軍曹、ウェイバー隊の副隊長としてこれから頑張ってくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
ニーガルはリリーの敬礼を背中越しに受けると、会議室へと向かっていくのだった。
会議室に集められた十一人の精鋭。
それを纏めるのはB.A.S.E.トップ2であるローザスであった。
「あれから何の進展もなしか……仕方のないこととは言え、憤りを感じずには居られないな。」
マター隊長であるアストンが言う。
「廃陸の旅団の天空艇は複数多種のスフィアを原動力にフォースの反発を起こし、位置特定ができない様にしてありますからね。」
「やつらから姿を現わすまでこちらからは手の打ち用がない。……か。」
ローザスは腑甲斐なさからか珍しくため息をつく。
すると
「先手に回る方法ならばある。」
新たに会議室に入ってきた男が唐突に言う。
「あ、あなたは……」
その男が来た瞬間。
集まった隊長に緊張が走る。
「お父さま。いつお帰りになられたのですか?」
男はどうやらローザスの父親らしい。
「今し方戻ったばかりだよローザス。他の皆もご苦労。」
「は、はい。」
圧倒的なフォースの差に隊長達ですら畏怖を感じ、冷や汗が全身を伝う。
「お父さま、いえB.A.S.E.総監"虹神"のハイマンス殿。我々が旅団に先手をうつ方法とはいったい?」
「簡単なことだよローザス副監。旅団の狙いは一つだ……」
ハイマンスは集まった隊長をゆっくりと見渡す。
その瞳に見入られただけで、鳥肌がたつ。
それほどまでに圧倒的な力の差。
「これより三月後、アンバー・タワー塔下においてエターナル・スフィアの一般公開を行う。」