廃陸の旅団
深紅の宝珠
日も沈みかけた頃、カムイとクラナドはニーガルと共にとある場所を目指し歩いていた。
ケルセウムは軍艦都市と呼ばれているだけあって、全ての建物が分厚い鋼鉄でできている。
しかも所々に砲台や軍の駐在所が設けられていた。
そんな鉄の森林を抜けていくと、オレンジ色の空に、雲をも突き抜ける高さの塔が現われた。
「あそこに見えるのが各区域にある軍の総本部『アンバー・タワー』銀世界にそびえる琥珀色の塔だよ。あそこにB.A.S.E.の施設がある。」
街を抜け、丘一つ越えなければアンバー・タワーへは辿り着けない。
再びかなりの時間を移動するといよいよそれは眼前へと迫ってきた。
「うわぁ、凄い大きさ。」
街から見たタワーは細い頼りない棒の様だったが、近くにまで来てようやくその巨大さを実感した。
「ああ、本当だな。天辺が雲に隠れて見えねぇ。」
カムイは立ち止まって空を見上げそう言った。
アンバー・タワーは巨大な防壁に囲まれ、ただ一つの門には頑固なセキュリティと、屈強な兵達が守りを固めている。
ニーガルは暗証番号を入力すると、侵入者撃退用のセキュリティを解除した。
そして門番の元へ歩み寄り、軍服の襟元に付いていたバッジを見せる。
「これはニーガル中将、ご苦労様であります。」
門番は鎧をガチャガチャと揺らしながらニーガルに敬礼をした。
そしてニーガルもまた敬礼をすると、二人を手招きする。
「さぁ、ようこそB.A.S.E.へ。」
巨大な門をくぐり二人は初めてその場所に足を踏み入れたのだった。