廃陸の旅団
ジンとシルファが戦闘態勢に入っても尚、カムイのフォースだけは穏やかに悠麗に流れていた。
「ジン、シルファ。下がってていいよ。俺がやるよ。」
そう言うとカムイは一歩前に躍り出て孔気刀を出す。
依然として緩やかなフォースがカムイを覆うが、カムイのそれは今までのとは何かが違っていた。
以前よりも遥かに洗練されていたのだ。
ジンとシルファからのカムイの信頼は高く、二人はカムイの言う通りに後ろに下がった。
「さて、来いよニワトリちゃん。」
言葉は通じてなどいないのだろうが、嘗められていることは感じたのだろうか、怒りに身をまかせコカトリスがカムイを襲う。
「カムイ!!コカトリスの唾液には人間の皮膚を石化する力がある。気を付けろよー。」
どうやらジンとシルファは本当に助太刀する気がないらしい。
仲間が一斉に魔物に襲われているというのに呑気にアドバイスなどして見ている。
「色彩すら失った大地か……悲しいね。せめて赤く染めてあげるよ『無双・空衝波』」
するどい太刀は、空間を切り裂き無数の風の刄を生み出す。
カムイから発せられた鋭利なフォースの刃は見事にコカトリス達を貫き、その血飛沫で灰色の大地を真っ赤に染め上げていった。
カムイはいとも簡単にコカトリスを殲滅してみせた。
三年という時間はこの男をも着実に成長させていたのだった。