廃陸の旅団
「ますます気に入ったぞ人間の小僧。」

「気に入ったくせに小僧はねぇだろ?」

二人の放つフォースが一言重ねる度に、力強さを増していく。

「ジン。オレの名はジン――"氷空"のジンと恐れられる廃陸の旅団のリーダーだ。」

ジンが構えるとミノタウロスもその巨大な斧を構える。

二人の間に深い沈黙が流れ、そして。

「行くぞジン。」

「来いミノタウロス。」

二人の激突で辺りの塵が吹き飛ばされる。

斧を受け流したジンは崩された態勢のまま鎖を投げる。

「くらえ『結鎖:氷狼陣』」

「吹き飛ばせ『グレイブウェイバー』」

ジンの作り出した結界を、いとも容易く突き破り大地の突起がジンに襲い掛かる。

「ちっ……」

突起に弾かれたジンはそのまま後方の枯れ木まで吹き飛ばされる。

そのジンの姿を追うミノタウロスの目に白い結晶が舞い墜ちていった。

「雪……?なんだこれは……まさか!!」

それがジンの能力だと認識した瞬間だった、幾億の粉雪が舞い落ちる、その間から白い狼の群れがミノタウロスへと襲い掛かったのだった。

「ぐぉぉおっ!!」


「つつ……氷狼陣をくらえばやつだって。ちっ、あばら三本やられた。」

大地の突起はジンの脇腹を強打すると、その爪痕を残した。

ジンの肋骨は粉砕されてしまっていたのだ。

荒れ果てた大地にそびえる氷の結界だけが静かにたたずむ……





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