廃陸の旅団
どこからともなくジンの声が聞こえ、ミノタウロスは振り返った。

「どういうことだ。貴様は確かに今目の前で息絶えているはず……まさか!!」

するとミノタウロスの周りを、いつのまにか何百人ものジンが取り囲んでいた。

「なるほど……ここはまだ貴様の結界の中だったということか。やはりおもしろい――おもしろいぞジン。」

「何言ってやがる。おもしろくなんのはこれからだぜ。」

複数のジンが一斉にミノタウロスに襲い掛かる。

一撃を与えれば一体のジンが切り裂かれ、壊れた雪の塊の様に地面に崩れる。

二撃与えれば二体。

やっとジンの数を数えられるようになったころにはミノタウロスは斧を持つのがやっとの状態になっていた。

「ここまでだぜミノタウロス。」

ジンの言葉にミノタウロスのたかが外れる。

一気に放出されたフォースが空間に地鳴りのような音を響かせていく。

「獣皇を舐めるな。この空間もろともジンを吹き飛ばせ『怪刃絶響』」

ミノタウロスの斧から耳をつんざくような高音波が発生し、辺りを歪ましていく。

氷の結界に反響し音はさらに大きく、際限なく増幅していく。

そして氷の結界にヒビが入り――

最後にミノタウロスが咆喉をすると氷の結界は、ガラスの様に砕け散ってしまった。

「残念だったなミノタウロス。終わりだよ。」

結界を破り、辺りを見渡そうとしたミノタウロスの首を、ジンの鎖が巻き取る。

「確かにここまでのようだな。全く……油断していたのは自分の方だったとは。」

「オレの結界を破ったのはアンタで二人目だ。誇りに思って……逝け。」







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