廃陸の旅団
アンバー・タワーの中は、シンプルな造りになっていて、とても綺麗な様式だ。
受付に話を通すとニーガルは二人を奥の扉へと手招きした。
「これは……階段?」
ニーガルは笑顔で頷くと階段を降りていく。
「アンバー・タワーへは二人とも初めてかい?」
2人はニーガルの後を追うようにしてその長い階段を下っていった。
「はい。憧れていた場所にこんな形で入ることができるなんて……カムイには感謝しなくちゃだね。」
そうクラナドが微笑む。
「大袈裟だな……ちょっとゲームしただけだろ。」
カムイの何気ない言葉に、クラナドがビクッと反応した。
自身すら気付いていなかった、その様子の変化にニーガルだけがいち早く気付いていた。
「シュミレーシュンはゲームとは違うんだけどな。カムイ君は言わずもがな、クラナド君にも驚かされたよ。」
階段を降りながらニーガルは二人の卓越した戦闘技術を褒め称えた。
目的のフロアに到着すると、そこには多くの軍人と白衣を着ている人がたくさんいた。
「この後、カムイ君に渡したい物があるんだが、私は早急にやらねばならないことがあるんで、代わりの者を呼んである。」
ニーガルはチラチラと右腕に付けた腕時計を覗き込む。
「というわけだから後はその人に聞いてくれ。それでは。」
そう言って二人を残したままニーガルは更に下へと降りていった。
「置いてかれちゃったね、どうしよっか……」
「どうするもこうするも待つしかないだろ。」
関係者達にジロジロと見られることに耐えながら、二人はそれからしばらくニーガルの代役の人物を待った。