廃陸の旅団
ジンはタワーの上層階で身をひそめながら走り続けていた。
作戦通りに事が運んでいればそろそろ旅団員達が総動員でタワーに潜入するはずだった。
「カムイは大丈夫だと思うが……さぁて皆。うまくやってくれよな。」
迂濶だった。
団員達を気にしすぎたばかりに気配を殺しきれていなかったのだ。
「やっと見つけましたよ。廃陸の旅団。私は現アーチャー部隊長フィーナ・ダストン少将です。」
短髪のブロンドヘアが廊下の明かりに輝く。
フィーナは弓を構えジンの喉元に突き付ける。
「律儀だね。そういう女も嫌いじゃないよ。廃陸の旅団団長ジン。宜しく。」
二人が戦いを始めた頃、同じくカムイもある男に見つかってしまっていた。
「まさかあんたに見つけられるとは思わなかったよ。」
「こちらとしても罪人を見つけることができて大将への進級も近くなったよ……カムイ・フロストマン。」
カムイが孔気刀を構えると、対峙していた男が漆黒と純白の双剣を構える。
「我々がどれだけ君の心配をしていたと思っているんだ?今からでもこっちに戻ってきなさい。」
男はカムイを説得しようと試みたが、それは無駄だった。
「悪いねニーガル中将。俺は自分の夢を選ばせてもらうよ。」
カムイと対峙している男、それはなんとあのニーガルだったのだ。