廃陸の旅団
「夢?それはヴァルハラを目指すことだったのかい?」
ニーガルの問いにカムイは答えない。
「違うはずだ。君の夢は友を、クラナドを救い出すことではなかったのか!!」
ニーガルは唐突に思っていた。
クラナドのことをカムイに思い出させればきっと改心し軍へと戻ってくるのだと。
しかしニーガルはある勘違いをしていた。
「分かってないねニーガル中将。オレはあの時から一度たりともクラナドのことを忘れたことはないよ。」
カムイはゆっくりと孔気刀を構える。
「ならば何故――?」
「旅団は俺を迎え入れる際に、クラナド捜索に力を貸してくれると約束してくれた。そしてその通りに色々な情報を集めてくれている。」
カムイの周りを覆うフォースが一層洗練されていく。
「軍にいても捜索はできるけど自由にってわけじゃないからね。少なくとも軍より旅団の方が無属民とコンタクト取れそうだし。俺にとっては都合がいいんだよ。」
カムイはそう言い終わると大きく息をすって、精神を統一した。
ニーガルもその様子を見て覚悟を決めていた。