廃陸の旅団
衝撃音が鳴りやむとカムイは床に伏していた。ピクリとも動かない。
そして、カムイの服と床が真っ赤に染まる程の、大量な血が広がっていた。
「こちらニーガル。旅団員を一人始末しました。他の状況はどうでしょう?」
ニーガルはカムイが死んだことを確認すると無線で連絡を取った。
「「…キロ……オキロ……」」
カムイは意識ない頭の中で声を聞いた。
ニーガルではない。
だが知っている。
「「起きろ。サンプルであるお前に死んでもらっては困るのだ。」」
「サンプル……?」
その声はどうやら一方的にカムイに届いているようでカムイの問い掛けには一切反応しない。
「「お前に新たな力を与えよう。」」
「そうか。他の旅団員もほぼ全滅。フィーナ少将が殉職されたか。分かった……私もすぐに戻ろう。」
ニーガルは無線を切ると、目の前の光景にただ驚愕した。
さきほど死亡を確認したはずのカムイが立ち上がっているのだ。
それも膨大なフォースを発しながら。
「ニーガル中将……退いてください。できればあなたを殺したくはない。」
カムイの言葉にニーガルは恐怖すら覚える。
「何を言っているんだ。君は私に適わないのだよ?」
「今の俺ならあんたを倒すことができる。」
ニーガルにはカムイの言葉が理解できなかった。
何よりカムイの変わり様に冷静な判断すらできぬ状態になっていたのだった。