廃陸の旅団

「カムイ。お前が自分の夢のために退くことができないように。私達も正義のために退くことはできない。お前を排除するよ。」

クルーは袖の内側から小型の拳銃を取り出した。

その銃口をゆっくりとカムイの眉間に向ける。

「リリー、つらかったら逃げてもいいんだよ。」

クルーは小さな声でリリーにささやいた。

母のような暖かい声は、リリーにつらい決断をさせる。

涙を拭い取りリリーは自分の頬を叩いた。

「カムイ・フロストマンあなたを軍への反逆罪で排除します。」

リリーの声はもう震えてなどいなかった。

恐いくらいに落ち着いた声。

そして心の涙は流れ続ける。

決心が鈍っていたのはカムイだけだった。

目の前にいる人はすでに自分に牙を向けている。

そんなこともわかった上でカムイは決断できずにいた。

「いきます。切り刻め『ターピュレンス』」

カムイの周りを乱気流が覆う。

間一髪で避けるが、ニーガルとの戦いで重傷を負ってしまっているため、俊敏に動くことができない。

鈍ったカムイの動きをガンマー隊の隊長であるクルーが捕えることなど容易かった。

「動きが鈍いぞカムイ。『ラピッド・ブラスター』」

瞬速の弾丸がカムイの右腕を貫通する。

「ぐあっ。」

左肩を切り裂かれ、右腕を貫かれてしまった。

右目は光を失い、身体はもう言うことを聞かない。

「吹き荒べ『フェーン』」

「焼き払え『バーニング・バレッド』」

2人の攻撃がカムイを捕らえようとした瞬間。

また右目がうすきだし、緑色の光を放った。





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