廃陸の旅団
クルーは嬉しそうに何か考えると、不敵な笑みを浮かべて目を瞑った。
そして横目でクラナドを見る。
「クラナド君、あ、あの。クルー少佐がああいう態度を取った時はな、何か悪いことを思いついた時だから、き、き、きき気を付けてください。」
クルーの様子を見たアストンが小声でクラナドに警告するも。
しかしその行動がアストンに取っては不幸の引き金となる。
「よし、クラナド。復習のためにスフィアについてカムイに説明してやれ。」
「え、僕がですか!?」
「ああ、勉強の成果を見せてごらんよ。」
いきなり白羽の矢が立ち驚くクラナドだったが、その表情は焦りとも不安とも違っていた。
「……はい。やってみます。」
「うん、良い返事だ。……そうそう不足分はアストン准将が"しーっかり"と補足してくださるから安心して良いぞ。」
満面の笑みからは何故か信じられない程の威圧感が感じ取れてしまった。
「あ……はい、やらせて頂きます。」
「あはははは。」
とはいえ、クラナドは人に教えたりするのが好きだったので嬉しくも思っていた。
小さく深呼吸をするとクラナドはスフィアについての説明を始める。
「まず、スフィアとは万物の核中に在り、僕達の扱うフォースの根源となるものなんだ。ある一定のフォース硬度を越える物体、物質が死滅、風化した時。フォースは圧縮され結晶化して宝珠と成り、取り出されるんだ。」
クラナドの説明は丁寧で分かりやすく、まるでお手本の様で研究員達から感心の拍手が送られた。
「スフィアはその硬度によって発色に違いが現れるんだ。」
クラナドの名講習ぶりにうんうんと頷いているクルー。
「最も硬度の低い物から順に『パープル《紫紋-シモン-》』。『グリーン《紺碧-コンペキ-》』。『イエロー《黄金-コウキン-》』>となっていて、レッド・スフィアはイエロー・スフィアを圧縮して人工的に生み出される超高圧のスフィアなんだ。」