廃陸の旅団

ジンの風が止む。

そこには――

「な、何だと!?」

傷一つなく佇むハイマンスの姿があった。

その指先からは光る細い糸の様なモノが辺りに伸びている。

「餓鬼道流糸術・四の区『炙り橋』」

ハイマンスの指先から一気に炎が舞い上がり、まるで何かに伝うように一瞬にしてジンへと向かってきていた。

その軌跡はまるで、あやとりで作った橋の様で、回避しようとしたジンが自らの身体の異変に気付く。

「なっ――いつの間に?」

なんとジンの身体中に無数の糸が複雑に巻き付けられていたのだった。

ジンは身動き一つ取れない。

そしてその糸を辿っていくと、ハイマンスの指先から伝わっていた。

そこから炎が伝わり広がっているのだ。

炎は糸に導かれる様にしてジンをも飲み込んでしまった。



< 205 / 583 >

この作品をシェア

pagetop