廃陸の旅団
「ふむ……しぶといな。」
黒煙の中から何とか這い出したジン。
身体中に大火傷を負いながらも、依然としてその目は憎しみを込めハイマンスを見据えていた。
「畜生道流剣術・初の幕『地割斬-チカツザン-』」
振り下ろされた刃。
なんとか回避したジン。
その居た場所は地割れの様に一直線に割れ、酷いほどの傷痕が残されていた。
おそらく回避していなかったならジンは一撃でやられていたことだろう。
「人間道流弓術・巻の参『百機直列双対飛燕-ヒャッキチョクレツソウツイヒエン-』」
一瞬にして放たれた二百の矢が、二列になりジンを襲う。
「ふ、ざけんなよ。アーチャー隊長を凌ぐ奴が居ていいのかよ。『結鎖・護爆陣』」
巻き起こした爆発は向かってくる矢を爆風で吹き飛ばし、爆炎で燃やしていく。
しかし二百もの矢を一度に防ぐことは適わず、ジンは矢によって身体中を貫かれる。
ジンは動けなくなった身体で、地面に伏せながらもハイマンスを見つめていた。
「動くことは適わず、それでも私に牙をむくか……地獄道流呪術・天元『エタニティ・スコール《天変地異》』」
召喚された渦巻きがジンを飲み込む。
その回転は雷をも生み出し急流の中を、超高圧電流が伝い、獲物を焼き殺す。
渦は最後に大爆発を起こすと、水しぶきの柱をたてながら消えていった。
するとジンのいた場所だけが歪んでいた。
その歪みが払われると、そこにはなんとシルファの姿があった。