廃陸の旅団
カムイは自分の耳を疑った。

ヴァルハラを目指すのを禁忌とし、取り締まっているはずの軍。

その最高指揮官と部隊長がかつてはヴァルハラを目指していたなんて。

「正確にはワシとハイマンス坊と元廃陸の旅団長じゃったオスカー坊の三人でじゃがな。」

「それなのに何故、天を目指すことを禁じるのですか?」

スクルドは少しの間、天井を見上げていた。

そしてゆっくりと息を吐くと話し始めるのだった。


「天を目指していたワシらはある高度を越えた先に、浮遊大陸を発見し、そこを『未踏惑星-オーバープラネット-』と名付けることにしたのじゃ。」

カムイはスクルドの話をただ夢中で聞き入っている。

「オーバープラネット?ヴァルハラではないのですか?」

カムイの質問にスクルドは優しく笑い答える。

「オーバープラネットの中央には神殿があり。そこの石碑にはある物が祭られ、古代文字で何かが記されておった。」

「ある物?」

「左様。そこには二十年前にスフィア戦争の元凶となったエターナル・スフィアを凌ぐ力を秘めた宝珠……『リダクション・スフィア《循環の宝珠》』があったのじゃ。」
< 210 / 583 >

この作品をシェア

pagetop